12月14日 礼拝メッセージ

「クリスマスの希望の星」 マタイによる福音書2章1−12節


 「見よ、闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出で、主の栄光があなたの上に現れる。」(イザヤ60:2)

 「闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。」このイザヤの言葉は21世紀の今日の世界情勢を言い表わしている。絶え間なく続くテロの恐怖、核爆弾の不安、経済優先の環境破壊、食糧危機、貧富の格差、そして危機的な金融経済の崩壊がグローバルに影響している。

まさに闇は地を覆い、暗黒が世界を包んでいる。しかし、いつの時代も世界を引っ張る中心的な国々があった。古代ではバビロン、エジプトや中国である。やがてギリシャからローマに移り、オーストリヤからフランス、イギリスと移り、20世紀にはアメリカが世界の中心として影響を持つようになる。榮えし国は滅び、世界の中心であった国々は移り変わり、今は後進国になっている国々もある。

 それぞれの時代に闘争があり、危機があり、暗闇が覆った。キリストのお生まれになった2千年昔、イスラエルの国はまさに闇が覆い、暗黒が包む強大なローマ帝国に支配された不安と苦しみ、民族の尊厳を踏みにじられた悲しい時代であった。時の王ヘロデはエドム人(エソウの子孫)でイスラエルに反感を持ち、昔から敵対してきた。狡猾なヘロデはローマに取り入り、イスラエルを懐柔する政策を採り冷酷な徴税を進めた。

そのようなときに東の国(メソポタミヤ地方、今のイラク)から3人の博士が訪れる。イスラエルがかってバビロンに幽囚の身となった時代から様々なイスラエルの預言者の言葉や伝承が神からの救い主メシヤが来るときには約束の徴しの“星”が現れることを3人の博士は聞き、それを調べて確信するようになった。夜空に輝く星を頼りにはるばるとイスラエルにやってきた。そのことでヘロデ王は不安になった。

そこで律法学者や祭司長を集めて聖書を詳しく調べた。ミカの預言書に「ベツレヘムにイスラエルの指導者が現れ、牧者になる」と言われていることを突き止めるる。その星は確かにベツレヘムを指して輝くのであった。そして尋ねて行って母マリヤと幼子に出会うのであった。この不思議な出来事を回想しながら3人の博士達は宝の箱から黄金,乳香、没薬をささげて礼拝するのであった。

このクリスマスの出来事は第一に、神の約束は必ず現実となるというメッセージである。この世を支配する暗黒の闇も約束の星が希望となって人々を平和に導くことを表わしている。見えるこの世の多くの困難や試練は人の自我とが欲から来ることを言っている。キリストの降誕を不安に思うヘロデ、その心は自己の野望と地位を脅かすとしか理解しない偏狭さにあった。人々も政変の混乱を思い不安におののいた。キリストは人の思いを越えて、人の心に潜む罪の世から真実の神の愛の幸せと救いを示さんとされたのであった。

どんなときにも人が本来与えられっている神を信じる純粋な心に立ち返るところに生きる希望が与えられることを示している。第二に、3人の博士はこの神の御心と現実の罪の中でみどりごがキリストであると証詞し、神は約束を果たし、みこころに適う人々に平和と幸せをもたらされると確信した。

確信は希望となり、いのちとなる。第三に、このクリスマスの出来事を繰り返し思うたびごとに現実の様々な戦いの中で起こる困難や試練をも克服し、いかなる時にも神の御心に生きることの力となり、それが勝利への道筋となる。クリスマスこそイエス・キリストが人類の救いの道、平和と幸せの道を示してくださったことを深く思うときであると言える。そこに喜びがあり、感謝があり、賛美が生まれる。クリスマスの喜びをしっかりと心にとめてクリスマスを迎えようではないか。



今週のみ言葉 エフェソ1章4節

「天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、御自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、
 キリストにおいてお選びになりました。」




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