５月２４日

礼拝メッセージ

「希望の調べに生きる」　　ヨブ記３５章１０節

　
　偉大なベートーベンは、その生涯の大部分を「やがて失聴者になる」という不安に恐れおののいてすごしました。音楽家にとって聴力こそ大切な宝です。初めてこの兆候に気づいたとき、彼は度を失い、失意のどん底に突き落とされました。医者はむろん、得体の知れないまじない師まで訪ねました。あらゆる補聴器も試みました。症状はどんどん悪化して、ついには意志を伝えるために筆談をしなければならなくなりました。それで彼は、「やがて私は耳が聞こえなくなる」とおびえていたのです。

　しかし、ベートーベンは、こんなマイナス条件を克服する道を見出したのです。驚くべきことが、ベートーベンの作った最も壮大で美しい曲（第九交響曲“喜び”）は、聴力を失ってから書かれたのです。世のことに気を散らすことなく、無音の中で集中してペンを取ると、新しいメロディーとハーモニーが、流れるように出てきました。彼にとって、失聴は恵みに変わったのです。

クリスチャン、神の子たちにとっても同じです。悲しみのとき、それが喜びに変わる。最も飢え渇く時、あふれ出る恵みを経験する。そのような時があるのです。

失意の砂漠を歩くとき、神の川の清い水が現れていることを見るのです。すべてが夜のとばりに閉ざされているとき、救い主イエス・キリストによって喜びの歌を聴くことができるのです。

私が神を信じて十年目ぐらいたった時、ものすごい失望、暗やみの中に陥ったことがありました。私は神に見放されたと感じ、元の私に逆もどりするしかないと思いました。

そのとき、神は私に病気を与えました。その苦しい病床の中で私は毎日、聖書のページをめくっていました。ある日、「神の言葉の一節」が輝いてきたのです。その光の中に飛び込んだそのとき、まったく新しい世界が見えてきたのです。喜びと平安の歌を再び聴きました。私の第二の人生の夜明けでした。神は夜中の真っ暗な中に、夜中の沈黙の中に、天来の歌を与えてくださったのです。

聖書の言葉、「しかし、だれも言わない、どこにいますのか、わたしの造り主なる神、夜、歌を与える方」（ヨブ３５：１０）

（やさしさにつつまれて）羽鳥明“ライフラインメッセージ”より。

今週のみ言葉　　イザヤ６０章２節

「見よ。闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出で、
　主の栄光があなたの上に現れる。」

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