８月９日

礼拝メッセージ

信教の自由を守る日「平和の福音と信教の自由」コリントⅡ、13章11－12節

　　8月9日は長崎に原子爆弾が落とされ爆死した人が7万人と言われる。6日には広島で14万人の人が一瞬のうちに命を落とした。これは日本のみならず世界中に衝撃を与えた。日本は好戦的な国民であったという人々もある。

しかし、日本の歴史を顧みると聖徳太子の時代から“和をもって貴しとせよ”とは国是のひとつとされた。“大和”は大きい平和のことであり、日本は平和を国是としたとも言える。古来、文明に目覚め、社会が形成されるようになると、どのような民族でも利害が生じて争いと戦争が起こる。しかし、全ての人は平和を求める心を持っている。

やがて日本では平安時代を迎える。平安は、“平和”であって平和時代でもある。平安時代を過ぎると戦国時代になる。利害をむき出しにした権力闘争であるが、矛盾したことに“天下泰平”（平和）を求める戦争でもある。
江戸時代は270年鎖国をしいて安泰（平和）な時代となった。西洋では16世紀から20世紀まで戦争が続く。南北アメリカ、東南・東アジアではヨーロッパの列強の植民地化で悲しい現地人の殺戮が続いている。そして科学の進歩が武器の進歩となって世界を恐怖の中に追い込んできている。

日本もやがて鎖国を解く時代となり、戦争の渦の中に巻き込まれることになる。国を守り、豊かにするには“富国強兵”が、明治の国是となる。当初は、幸福のために豊かになる。平和のためには強い軍隊を持つことであった。当初の明治政府には侵略（アジアへの）の気持ちはなかった。ヨーロッパの国々に誘発されて戦争の悲劇に突入することになる。そしてそのアジア制覇の野望は広島と長崎の原爆の悲劇で終わる。政治を誤ると国は疲弊し、滅び、苦渋と悲惨が人々を襲うことが分かった。　

　日本は世界で只一つ、“戦争を放棄し、外国を信頼し平和を求める”（前文・憲法9条）ことを国是とする国となった。それは時代を超えて人類が求める“幸福”である。聖書は「平和の源である神があなたがた一同と共におられるように」（ロマ１５：３３）「あなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。」（ロマ１２：１８）「兄弟たち、喜びなさい。完全な者になりなさい。励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいてくださいます。」（コリントⅡ１３：１１）と教えている。平和は神の愛から生まれる。「正義と信仰と愛と平和を追い求めなさい。」（テモテⅡ２：２２）神を信頼するところに神の正義があり、神を愛することは神の道、聖なる道、正義に生きることである。正義は人を愛することによって実現する。信仰と愛と正義のあるところに平和が生まれる。神を愛することは平和を生むことになる。

　幸福は平和であることにある。しかし、平和であっても自由がなければ人間は真実の幸せとはいえない。江戸時代の平和も自由のない身分差別の時代であった。自由のない、平等を犠牲にした平和は、真実の幸福ではない。自由と平等と平和があって人は真実の幸福になると言える。

神戸にキリスト教の宣教師、アメリカのグリーンが明治2年に来日した。日本語を教わった市川栄之助、まつ夫妻がやがて受洗した。キリシタン宗門の嫌疑で逮捕される。宣教師は救出に奔走したが拷問のうえ獄死する。帰国した宣教師は米政府に宗教弾圧の実態を報告した。その後、欧米使節団の岩倉具視が抗議を受けて、二年後明治政府はキリシタン禁制の高札を撤去した。悲しい迫害の時代である。その後、再び、軍国主義となり基本的人権である宗教、集会、言論の基本的人権の弾圧が続いた。そして原爆の悲劇の犠牲を出して自由と平等を得ることになった。

「実に、キリストはわたしたちの平和である。…キリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされた。キリストはおいでになり、遠く離れているあなたがたにも、また、近くにいる人々にも、平和の福音を告げ知らせられました。」（エフェソ２：１４－１６）キリストの福音、神の愛による回復に和解の実現力の鍵がある。キリストの福音に生きる者であろうではないか。

今週のみ言葉　マタイ5章9節

「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる。」

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