９月１３日

礼拝メッセージ

「キリストにある喜びの力」　使徒言行録８章1－8節

　　　喜びは人を生かす力である。自分が自分として生きる支えとなっているものをもっているときどんなに苦しくてもその大切なものを希望として生きるものである。キリスト教の歴史は迫害の歴史で始まった。キリストの教えは、当時のイスラエルの社会は律法中心で律法学者や祭司の傲慢と人間性を失った差別と偏見が支配していた。また一方ではローマ帝国の支配を受け経済的に、精神的に抑圧されていた。社会不安の中でたびたび内乱や暴動が起こった。人々は生きる希望を失っていた。そのような時、キリストは神の愛に生きることによって真実の神の国が実現すると語られた。神の国は和解と赦し、敵をも受け入れる勇気を持って憎しみを超えて赦しに生きることをその生涯で教え、敵対するものに十字架につけられながら「していることを自分で理解していないのですから彼らを赦してください」と祈られた。

敵対と憎しみは、復讐の連鎖、猜疑と対立、殺戮と破壊が続く、それが神の御心、神の愛の真実を見失った歴史、それは人類の歴史であり、今も世界で続いている。キリストは十字架に架けられながら神の愛を信じ、真実の和解と平和の道を示された。

このキリストの言葉を信じ受け入れた弟子たちは人間として生きる、生かされる希望を確信した。「あなたは知らないのか、聞いたことはないのか。主は、とこしえにいます神、地の果てに及ぶすべてのものの造り主。倦むことなく、疲れることなく、その英知は究めがたい。疲れた者に力を与え、勢いを失っている者に大きな力を与えられる。若者も倦み、疲れ、勇士もつまずき倒れようが、主に望みをおく人は新たな力を得、鷲のように翼を張って上る。走っても弱ることなく、歩いても疲れない」（イザヤ４０：２８－３１）。これ以外に救いはないと確信した。「（キリストの）ほかのだれによっても、救いは得られません。わたしたちが救われるべき名は、天下にこの名のほか、人間には与えられていないのです。」（使徒４：１２）

　使徒言行録の8章でフィリポは迫害のためにエルサレムに家族を残して逃亡する。サマリヤに逃れたのは偶然とはいえない。ユダヤ人に差別され嫌われたサマリヤの町に意図的に行ったと推測できる。不安と困憊の中にありながらキリストの愛に生きる喜び、沸きあがるキリストの愛と恵みが差別されてきた人々に真実の神の愛と救いを語ったのである。人々はキリストの福音を聞いた。

生ける神は信じる人に愛をもって罪を赦し、神の命を生活に表されると伝え、キリストを受け入れた人々のために祈ると病人が癒され、精神障害者が立ち直り、中風のものが癒された。町中の人々が喜びにつつまれた。ここでは使徒パウロの言葉が実現している「人に知られていないようでいて、よく知られ、死にかかっているようで、このように生きており、罰せられているようで、殺されてはおらず、悲しんでいるようで、常に喜び、物乞いのようで、多くの人を富ませ、無一物のようで、すべてのものを所有しています。」（コリントⅡ、６：９，１０）キリストを信じることによって与えられる「喜び」は人を生かし、その人によって多くの人々にキリストの救いと希望を「喜び」として伝えていく力となる。

キリストを信じるときキリストの喜びが人を生きる力として真実に人を生かしてくださるのである。キリストはいつも共にいて希望に生かしてくださる。

今週のみ言葉　

「泣きながら夜を過ごす人にも、喜びの歌と共に朝を迎えさせてくださる。」（詩篇３０：６）

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