１０月１１日

礼拝メッセージ

「愛は奇跡を生む」　ヨハネによる福音書6章1－15節

　　人は日々の生活の中で厳しく、耐えられない苦しみや悲しみに出会い、耐えられなくなると「神や仏もあるものか」というものです。日本では一般に人々は宗教心を持っています。しかし、生活の風物、習慣的に盆や正月に神社仏閣にお詣(まい)りするぐらいです。用事のあるときだけ神様の出番というわけです。そこで「何様がおわしますかわ知らねども、ただ有り難さに頭(こうべ)うなだる」「鰯の頭も信心から」ということになり、兎に角、何が神様か何か分からないがお願いしようと言うことです。お陰のあるときだけ「苦しいときの神頼み」というわけです。どうしようもないときに人間にできないこと、「奇跡」を求めることになるのです。

　聖書の冒頭に「初めに、神は天地を創造された」（創世記１：１）と言われている。それは全ての命と存在の根源は創造主なる神様によると言っているのです。確かに、人間は生まれて家族の愛にはぐくまれ、自然の中に生かされ育てられて生きていくものです。奇跡は毎日の自然の営みの中で、起こらないと思っていることが起こることです。しかし、毎日、健康で空気を吸い、食事をしていますが、不思議なことの連続であると言えます。不思議なことが連続すると不思議でなくなり、奇跡のような日常が“当たり前”になってしまって毎日の生活が不思議でなくなり、奇跡の毎日が感動もなくなるということになります。

しかし、到底、人が毎日の自然の仕組みの源(みなもと)が分からなくても当たり前になってしまうのです。「神が天地、全てを創造された」ということは、人が、神様に生かされている。人には理解できない不思議な存在であることが分かるとき、生かされている自分が、奇跡があるということになります。始めて、そこに神の恵みの素晴らしさが、感動となり、感謝があふれます。神に愛されている自分を発見するのです。その愛こそが人を生かす勇気と希望を与えます。

　キリストがガリラヤ湖畔で多くの群集にお話をされた時のことが福音書に書かれています。群衆はおおよそ5千人ほどの男たちと書いてあるが、これは大人の男の人たちを言っているので年少者や女の人たちがいたと想像すると、さらに数千人の人たちがいたことになります。昼時になり食事をしようとされ、弟子たちにどこでパンを手に入れればよいかといわれています。昔のことでもあり、そこは人里はなれたところでこの人々のためにパンを手に入れることは不可能であった。弟子のフィリポは手持ちのお金で到底買えないと言い、アンデレは、少年がイエス様の言葉を聞いて差し出した５つのパンと焼いた魚であろうか２匹を持ってきてこれではどうにもなりませんねと言うのです。

二人とも「出来ない」「無理」だとしか言えなかったのです。そこでイエス様は群集を座らせて、５つのパンと２匹の魚を同じようにして感謝の祈りをされ、人々に分け与えられました。そこで人々が十分に食べ終わると屑籠に残ったパンを集めるように言われ、１２の籠に一杯になったというのです。少年は自分のパンを自分で食べることが出来たのですが、イエス様と共に一緒に食べて頂こうと差し出したのです。イエス様を信じてそのお言葉にお答えしたのでした。そこで思いもしなかったイエス様の祈りによって多くの人々が喜びをこめて食事をしたのでした。

おそらくこの少年のほかにも弁当を持ってきていた人もあったのでしょうが、イエス様に差し出すのをためらっていたいかもしれません。イエス様の奇跡と少年を見ておそらく周りの人々と弁当を分かち合ったと想像できます。神の奇跡は神の愛を示すメッセージであるのです。そして人々の愛し合う心こそが神のみ心であり、神に愛されている自分を発見することこそ、人が、互いに愛し合う力であり、祝福の奇跡を生む希望となると言えます。　聖書に記しているイエス様の奇跡のみ業は神の愛のメッセージであり、人々と共に働く生ける神様の愛の証であるのです。

今週のみ言葉　エフエソの信徒への手紙４章１５節

「むしろ、愛に根ざして真理を語り、あらゆる面で、頭であるキリストに向かって成長していきます。」

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