１１月２２日

礼拝メッセージ

「待ち望むクリスマス」マタイによる福音書3章１－12節

　　11月も終わりになると町でクリスマスのデコレーションが目に付き始める。クリスマスはイエス・キリストのご降誕を祝う日である。新約聖書には4人の人たちがイエス・キリストの生涯を記録している。実際にはイエスのお生まれになった前後のことはマタイとルカの福音書にしかない。4つの福音書が共通しているのはイエス様が広く福音を伝えはじめられる経緯(いきさつ)からである。洗礼者ヨハネが「悔い改めよ。天国は近づいた。」（３：２）と言ったとき人々は昔から預言者によって告げられてきた救い主メシヤかもしれないと期待を寄せて集まってきた。神の約束の「天国」が近づいてきた。神に会う備えのために「悔い改め」、そのしるしとして洗礼を受けよと諭した。人々は、連綿と続く列強の侵略と迫害の中で約束の神の国の実現を待ち望んでいた。バビロンの捕囚から解放されたあと、シリヤの侵略と略奪、反乱によって勝利もつかの間、ローマの侵略と支配、屈辱的な圧政に政情不安が続き、生活は困窮し、続く反乱と弾圧に生きる希望をなくしていた。ときどき起こる熱心党や伝統主義の面々による独立運動のリーダーが現れるたびに人々は、救い主メシヤの顕現と重ね合わせながら待ち望み、４弾圧と鎮圧で過ぎては消えていく現実に苦しんでいた。

そのような時、洗礼者ヨハネは律法を守る自己満足でなく罪を自覚して「悔い改め」て洗礼を受け、真実の悔い改めこそ神の国を待ち望む不可欠な準備であると説いた。人々は共鳴し、洗礼者ヨハネから洗礼を受けるために続々と従った。しかし、ヨハネは「わたしの後から来る方は、わたしよりも優れておられる。わたしは、その履物をお脱がせする値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。」（マタイ３：１１）「わたしの後から来る方」とはイエス・キリストを指している。その方は「聖霊と火」でバプテスマを授けられるというのである。そしてヨハネによる福音書1章の29節ではイエスを指して「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ。」と言っている。正に、イエス・キリストこそが「神の国」を実現する救い主であることを予告したのであった。洗礼者ヨハネはこの世の混乱の根源的な原因である人間の罪業を完全に解決し、新しい神の国の道を実現される方としてイエスを人々の前に宣言した。「（イエス・キリスト）この方こそ、わたしたちの罪、いや、わたしたちの罪ばかりでなく、全世界の罪を償ういけにえです。…神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子（イエス）をお遣わしになりました。ここに愛があります。」（Ⅰヨハネ２：２，４：１０）神はイエス・キリストによって真実の神の愛を示されたのです。キリストは神の国を語り、神に国への道を回復された。不幸の根源である罪、失われた愛の道を十字架に自らを犠牲にすることによって示された。

イエスの弟子たちも当初は十字架の出来事を理解し得なかった。しかし、イエスが約束された聖霊の降臨、すなわちバプテスマを受ける経験を通して、イエスが自分のため、世界の救いのメッセージであることを悟るのであった。そこからキリストの教会が生まれ平和の福音の宣教の歴史が始まった。その聖霊のバプテスマこそは「火のバプテスマ」であり罪を解消させる体験を示している。聖霊は人々に神の国を理解させ、神を信じる者に与えられる神の国の平和と喜びの確信を与えられる。神の国は未来のことではなく、イエス・キリストを信じるときにすでに今、現実に神がともにいて平安を与え絶望の時にも、確信と希望を与えてくださる。「このように、わたしたちは信仰によって義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストによって神との間に平和を得ており、このキリストのお陰で、今の恵みに信仰によって導き入れられ、神の栄光にあずかる希望を誇りにしています。そればかりでなく、苦難をも誇りとします。わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。」（ロマ５：１－５）クリスマス、イエスキリストの降誕を待ち望む時に、そのみ心をしっかりと自覚して待ち望みたいものである。

今週のみことば　　イザヤ書　40章31節

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