１１月２９日

礼拝メッセージ

「生きる確信と希望」　イザヤ書５３章１-５節

　　教会ではクリスマスを向かえる四週前からアドヴェント（降臨節）と言ってクリスマスを待つ心備えをする。キリストの御降誕をめぐって不思議な記録がルカによる福音書とマタイによる福音書には記録されている。夜通し野原で羊の番をしていた羊飼いに天からメッセージが語られたというのである。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシア（キリスト）である。…いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」（ルカ２：１０－１４）神のみ心が現わされ“喜びと平和”が訪れることを告げている。人はどんな人でも幸福に生きたいと願う。幸福とは何かを問えば１０人１０色と言われるように千差万別である。しかし、共通していることは平和な生活、喜びに生きることである。喜びや楽しみは破壊的なものと建設的、健全なものとがある。

　漢字で人は人間と言われるように“人”と“人”の“間”と書くように人は人と共に生きることによって人間を生きることになる。人と共に生きることは人を思いやる気持ちがあって初めて共に生きることができる。愛し合うことである。自分の欲望や自己主張だけでは人と共に生きることはできない。人を理解し、譲り、いたわり、思いやるという愛の心が共に生きる平和を生み出す。愛が失われると、欲望と自己主張の衝突となって猜疑と疑念が交わりを暗くし混乱と争いとなる。それは闇であり、罪深い世界となる。

　キリストは人を幸せにする根源的な力である“神の愛”を現わすためにお生まれになった。“神の愛”のあるところに“平和と喜び”がある。

　羊飼いはメッセージに導かれるままにイエス様のお生まれになった馬屋にたどりつき天使の御告げが真実であったので驚き、神様を崇めた。羊飼いは貧しく、また、神の道を学ぶすべを知らず、希望もなく、平安もなく、不安と諦めの日々であった。おそらくイエス様の生涯の出来事を見守り、多くの人々を癒され、その神の言葉に驚き、迫害を受けられ、人を愛して裁かれ、十字架で死を迎えられるイエス様を見ながら、あの夜のメッセージを思い返したと想像できるのではないだろうか。

　イザヤ書の５３章には苦難の僕、イエス様の生涯の受難が予言されている。「この人は主の前に育った。見るべき面影はなく、輝かしい風格も、好ましい容姿もない。彼は軽蔑され、人々に見捨てられ、多くの痛みを負い、病を知っている。彼はわたしたちに顔を隠し、わたしたちは彼を軽蔑し、無視していた。… 彼が刺し貫かれたのは、わたしたちの背きのためであり、彼が打ち砕かれたのは、わたしたちの咎のためであった。彼の受けた懲らしめによって、わたしたちに平和が与えられ、彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた。」（イザヤ５３：２，３、５）この受難の姿の中にキリストのみ姿をみることができようか。人々が見向きもしない姿、いやしめと孤独、悲しみと痛みを知っておられた。敵するものを愛し、無視するものをいとおしく思い、友なき者の友となり、共に歩み、語られたイエス様。そして十字架にかかり人の罪を背負い、贖いとなられた。

　聖書の語るイエスの様の降誕とその生涯を「誰が信じえようか」（イザヤ５３：１）。人は、過去を信じて「確信」し、未来を信じ「希望」として、今に生きる力を得る。神が、人となられたこの出来事、クリスマスの出来事を今信じるとき、欲望と暗黒の渦巻く現実に、キリストによって現わされた神の愛に救いと平和の希望を見出し、光と平安、喜びを生きる現実を見いたすことができる。過去のクリスマスの出来事を信じる確信とその信じる確信によって約束される神の約束を未来に信じる希望が神の国を今に生きることになる。イエス様は言われた「信じない者ではなく、信じる者になりなさい」（ヨハネ２０：２７）

今週のみことば　　ローマの信徒への手紙１５章１３節

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