１２月６日

礼拝メッセージ

「平和の訪れクリスマス」　イザヤ書１１勝１－１０節

「暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く。」（ルカ１：７９）　世界の人々が共通して願っていることは、世界が平和であるようにということである。人類の歴史は戦争の歴史ともいえる。科学の進歩とともに戦争は、破壊力を増し、悲惨は増幅している。罪なき人々を巻き添えにしながら何十万の人々を一瞬にして殺戮する核兵器となってきている。

民主党の小沢一郎幹事長は、和歌山県高野町で全日本仏教会の松長有慶会長と会談後、記者団に宗教観を披露した。この中で小沢氏はキリスト教に対し「排他的で独善的な宗教だ。キリスト教を背景とした欧米社会は行き詰まっている」との見解を表明。イスラム教については「キリスト教よりましだが、イスラム教も排他的だ」と述べた。一方、仏教に関しては「現代社会は日本人の心を忘れたり見失っている。仏教は人間としての生きざまや心の持ちようを原点から教えてくれる」と称賛したと言われている。一国の重責にある政治家の言葉は重いものがある。

そもそも人は平穏で安心を求める。そこに人の力を超えた宗教の道をもって幸福を求め、生活を営み政治が営まれてきた。しかし、どのような宗教も政治の道具として使われるとき、政治は権力の闘争であるから宗教の争いの様相になり、現実に宗教指導者が様々な争いを起こすことになる。日本は古来、自然宗教としての神道であった。仏教の伝来で物部と蘇我との宗教の選択と戦争になった。信長の叡山焼き討ち、それは宗教の弾圧というより利権闘争であると言われている。さらに念仏宗が弾圧される。徳川幕府になると寺請制度によって不受不施派の勢力やキリスト教弾圧のために過去帳（戸籍）を作らせ、移住、旅に、就職に戸籍証明が要った。仏教の弱体化がそこから始まるといわれる。そして明治になり幕反体制から廃仏毀釈（仏教を遺棄し国家神道とする）によって多くの仏寺が破壊された。キリスト教が開教なるも、帝国主義と軍国主義による思想統制に基で思想宗教弾圧が続き基本的人権が抑圧されてきた。このような中で仏教は生活文化、習慣として残照を残す現状となり葬式仏教とさえ言われている。戦中弾圧された創価日蓮宗は極めて排他的であり、政教分離の疑義を問われ続けている。歴史の中で本地垂迹（八百万の神は仏の化身思想）廃仏毀釈などの変遷の中で徳川幕府の下で日本の宗教意識は神仏混淆の「宗教は何でもいい（善悪抜き）」というような気風になってきていると言われている。日本仏教の輝かしい思想的求道と布教は鎌倉時代で終わったことになる。

旧約聖書を基本とするユダヤ教やイスラム教の神の律法による救いは、人を律法に縛り、反対に律法にないことは何でもしてよいことになり生活の自己矛盾に陥ることになる。貧しい人への施しが救いとなるとき、もらう人が救うというすり変えとなり自立を失う人や社会、国になる危険がつきまとう。そこから絶え間なくテロと戦争の連鎖が生まれることになる。戒律と裁きでは真実の平和は来ない。律法の真実の精神は「神の愛」であるとキリストは語っている。「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」（ヨハネ１３：３４）「わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。」（ヨハネⅠ４：１０）「闇と死の陰」欲望と闘争に明け暮れ、罪を罪と判らず憎しみと混乱にいる人々にキリストは犠牲となり、「神の愛」を表された。平和は人が愛し合って生まれる。愛は愛する者の犠牲になることによって成り立ち、「赦す」ことによってのみ道が開かれる。キリストを信じる人々は当初、迫害を受けた。あるものは火あぶりに、野獣の餌食に、ある人は半身不随になった。しかし、赦し、続けた。そして鉄のローマ帝国がキリスト教となった。悲しいことには西暦３９４年、国教化されて権力の座に坐ることから戦うキリスト教になった。しかし、「汝の敵を愛し迫害する者のために祈れ」（マタイ５：４４）「人を殺すなかれ」（十戒）「あなた方はできる限りすべての人と平和に過ごしなさい」（ロマ１２：１８）「平和の源である神があなたがた一同と共におられるように、アーメン」（ロマ１５：３３）の言葉は歴史の中で絶えず人類へのいのちの道、平和の道として今も語り続けられている。そしてキリストの教えは福祉、経済、教育、赤十字にみられるように医療など人類を幸せにする人権思想の指標となっている。愛と平和こそクリスマスから贈られる神の賜物である。

今週のみ言葉

　「希望の源である神が、信仰によって得られるあらゆる喜びと平和とであなたがたを満たし、聖霊の力によって希望に満ちあふれさせてくださるように。」（ロマ１５：１３）

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