１２月１３日

礼拝メッセージ

「クリスマスの星に導かれて」　　マタイ福音書２章１－１２節

　今年もノーベル賞の授与式のニュースが華々しく伝えられた。特に平和賞が米国のオバマ大統領に贈られたことに賛否両論が起こった。しかし、そのスピーチを読む限り、人間の根源的な幸せと悲惨な戦争の現実を理解して超大国のよって立つ使命の責任を確信した見事な内容であった。人間の営みではいかなる理由があっても「正義の戦争」はあるのだろうか。また、この世の理不尽な暴力的「悪」は戦争なくして消えることはないのも現実であろう。

しかし、人間は、「神に似せて造られた」（創１：２７）、このことからすべてに人には共通した神様の思いが本来的にあることになる。それが人間の尊厳であり、自由であり、幸福に生きる思いであると言える。人は、暴力でしえたげられたり、無視されてはならないし、人は、人を抑圧したり、無視することがあってはならないということになる。人は、互いに「愛しあう」ことによってしか幸福に生きる道はない。その愛も自己中心の愛ではなく、愛する人のために互いに犠牲を惜しまない時に、幸福の希望が持てる。人の尊厳や自由があっても、貧困や疾病、環境が破壊されて生まれる悲劇は生活の戦いであり、やがて国と国との戦争となる。ルーサー・キング師は「私はあいまいな歴史への最終回答として絶望を受け入れることを拒否する。私はまた、人間が現在『そうである』性質が、永遠の課題である『そうであるべき』姿に近づくことを不可能にしているとの考えにはくみしない」と言っている。現在の「わたしたちの悲劇」が、「神が約束される人の幸せ」である希望を失わせてはならないということであろう。マザーテレサはどんな人間でも尊厳と愛されていることを行為によって知らせ、神様の愛の希望を伝えた。

クリスマスはキリストによって現わされた神の御心を示す希望の出来事である。すべての人が神の愛に立ち返って真実の人の心、与えられている神の心を取り戻し、先ず、その神の愛による平和を知ることから、神様に立ち返る真実に出会うことをキリストは祈られた。そして、３３年６カ月の生涯を愛の証として神から離れた人類の罪深い欲望と暴力の歴史の闇を贖うために十字架に犠牲になられた。

町ではクリスマスのイルミネーションが輝く、大抵の家ではクリスマスケーキでメリークリスマスのあいさつを交わす。信仰に関係が無いかも知れない。しかし、クリスマスはすべての人を神様が愛して御子を遣わされた希望と平和の訪れの記念の時である。クリスマスの愛の心をすべての人が讃えることは素晴らしい。やがて、神に愛されている自分を見出し、その真実のクリスマスの心がさらに現実に生かされる時が来るのではなかろうか。

いつの時代も罪と争いの闇が時としておおう。悲しみと悲嘆にくれる時にもクリスマスの希望が、人に喜びとなり、生きる忍耐と勇気となって「平和を作り出す人」として生かされることになる。

イエス様の御降誕の時、はるか東の国（今のイラクの方面）から３人の博士がイエス様を訪ねてきた。おそらくイスラエルがバビロン（昔のイラク地方に起こった国）に占領され、指導階層がことごとく捕囚された時から預言者によって言い伝えられてきたメシヤ（救い主）を指し示す星が現れるという伝承があった。３人の博士は伝承や文献から研究し、星空に現れた不思議な星を見て確信し、その星に従ってメシヤに出会う旅に出る。果てしなく続く砂漠を孤独と不安を感じながら、闇夜に輝く星を頼りに導かれて行った。そしてやがて、ユダヤに着き、そこで王の引き合わせで律法学者に出会い、ベツレヘムにメシヤがお生まれになったということが判る。星の輝きに導かれて、イエス様に出会うのであった。そして持参した黄金、乳香、没薬を捧げて礼拝するのであった。すべての人は、幸福と平和を求める。争いと罪の闇の中で、人が求める平和と幸せの心の思いこそは「平和の君」（イザヤ９：）イエス・キリストを求める心である。闇の中に平和の星、クリスマスの星に従い平和と幸せを信じ求めて言ったように。この希望がやがて真実の平和に出会う約束となる。クリスマスの星を見続けて希望に生きようではないか。「イエス・キリストは、きのうも今日も、また永遠に変わることのない方です。」（ヘブル１３：８）

今週のみ言葉　　マタイによる福音書１章２３節

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