3月14日 礼拝メッセージ

「宝を天に積む喜び」 マタイによる福音書6章19―24節

人のには大切にしているものがあり、その大切なもののために生きることになります。この大切なものを「宝」ということもできます。イエスは「あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。」(マタイ6:21)と言われました。この「富」は口語訳聖書では「宝」と訳されています。また24節では「あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」となっていますが、21節の「富」(セースウロス)は英語ではトレジュア(宝)と訳されています。本来この言葉は「価値ある事物の保管場所」というような意味で現代のような築き上げた財貨を預けて利回りを求めるような時代ではなくひたすら安全に秘密の内に自分で保管する時代であったのです。

それに信頼し、守る生活であったことから絶えず心はそれに結びつけられていたのです。また、24節の「富」(マモーン)は「頼りにしている財貨」という意味でつかわれ、昔からこの言葉は私たちがいつも祈りの終りに言う「アーメン」がその意味の源と言われています。この言葉は「確かに」「真実に」「信頼して」というような意味で日常に使われていたものです。物事を預ける、やり取りするとき「確かにいただきました」「確かにお渡ししました」といったように「頼りにしている財貨」をお渡ししましたというようなことから「マモーン」が「富」「宝」となり、人はその財貨に執着し、迷い、破滅に至ることになることからいつしか「マモーン」は人を惑わす魔力となったのです。それは英語のマネーにもなっています。マモーナスは拝金主義の意があり、金の亡者の意味でもあります。

第一に、主イエスは「地上に富を積んではならない。」と言われます。どのように保管しようともその富に安全と信頼とに執着するとき、どのような保管をしても変わりゆく日々にいつどのように変わるか分らない。地上は変わりやすく、はかない。むなしいものであることに気づくことを教えておられる。「パンのみによって生きるのではない。」という言葉にあらわされているように、パンは現実の生活であるのです。しかし、現実の生活が命の言葉、神の言葉に支えられて変わることのない人の幸せに生きる喜びがあることを言っています。富に惑わされ、自分を見失う時、そこには破滅と滅びしかないと言えます。「富は、天に積みなさい。」(20)とは「天」に生きることを言っているのです。「天」に生きるとはイエス・キリストと共に生きることにほかなりません。富の奴隷でなく神の御心に生かされる時、富を栄光あるものと変え、人を生かし、暗黒の世に光と力として「富」は人を生かし、真実の喜びと希望に変えるのです。「富」にではなく神の命、その言葉に生かされる時にこそ「すべてのことが益となる」(ロマ8:28)力を与えられるのです。

第二に、「目が澄んでいれば、あなたの全身が明るい。」(マタイ6:22)「目が澄む」という表現は、混じり気のない、純粋な、正直にして一途なというような意味があります。お金のことになると人間は盲目になりやすく、物欲にとらわれると理性も知性もおかしくなます。人を狂わせる魔物に振り回されることになるのです。「天に富を積む生き方」とは正に「目が澄んでいる生き方」であると言えます。じっとイエスを見つめ、イエスに聴き、従う生き方です。クリスチャンは日曜日を守ります。すべてのことをさておいても、守ることは喜びです。いろいろなことがあるでしょう、本当に大切なことがあってもそれを第一にできることが喜びであり、大切に思うことが祝福の鍵となると知っているからです。そこに天の光が生活と人生を明るく希望に輝かす道を見出すことになるのです。

第三に、「神と富とに仕えることはできない」(24)人は豊かさを求めて富を築く。そして「富」を求めるのでなく、富に支配され、服従し、理性も知性も失い、混乱した感情の中で自分を見失う。本来の自分、人間性を失うことになります。「富」が悪でなく、神を忘れて光を失った人間の悲劇なのです。投機で20代にして何百億円の富をいた青年は「どんな幸福も金で買えないことはない」と言ったが、その違法性とバブルの崩壊で富も名声も失い、世の嘲笑の的となりました。一つしかない人生です。最も大切なものは何か。変わることのない喜び、平安に根差す日々を送ろうではありませんか。主イエスのお言葉を土台にした人生を築き上げようではありませんか。「主の教えを愛し、その教えを昼も夜も口ずさむ人。その人は流れのほとりに植えられた木。ときが巡り来れば実を結び葉もしおれることがない。その人のすることはすべて、繁栄をもたらす。」(詩1:2、3)



今週のみ言葉 マルコ12章29−30
「イスラエルよ聞け、・・・主を愛しなさい」




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