9月5日 礼拝メッセージ

「豊かな感謝の心」 士師記8章33−35節

人が生まれて言葉を覚え始める時、最初に教えられる大切な言葉がある。それは「有り難う」と「ごめんなさい」である。この二つの言葉が人間と人とを結ぶ基礎的な絆になると言える。どんな人でも過ちを犯さない人はない。人に迷惑をかけた時、「ごめんなさい」と一言謝る時に、お互いの心はいつまでも結びあうことが出来る。赦されて信頼が生まれ、信頼が再生する。どんなことにも「有り難う」と言う気持がある時、感謝の気持ちがお互いの関係をいつまでも結ぶつけることになる。人間形成の基礎となる言葉である。よく考えてみると家庭生活や社会生活の中でもお互いに感謝し合う心とわずかなことにも、謝罪する細やかな心使いが信頼と豊かで温かな人間関係を生み、それが相互の助けとなり、支えとなって、力と希望を生み出すことになる。
イスラエルがエジプトから解放されて約束の地カナンに入り、各部族が分れて嗣業の地に向かった。苦労をしてエジプトから脱出した人々は召されてその苦しみを知らない人々の時代になり「主を知らず、主がイスラエルに行われた御業も知らない別の世代が興った。イスラエルの人々は主の目に悪とされることを行い、バアルに仕えるものとなった。」(士1:10,11)この時世のイスラエルの人々は、放浪の生活から新しい農耕生活にかわり、その地に根付いている肥沃を司る農業神バアルとアシラを礼拝し、活ける真の主を忘れた。いつの時も周辺の先住部族の侵略と破壊を受け混乱した。その悲惨さの中から必ず、神に召された「さばきつかさ」即ち、「士師」が立てられてイスラエルを再建し平穏を取り戻した。この繰り返しの時代の記録が「士師記」(BC1400頃)である。ここで教えていることは、人は過ちを繰り返すと言うことである。次に、神は、罪を見過ごしにされないことである。そして、現実を知り、悔い改める者に赦しと再生の道を備えてくださるということである。 
イスラエルの人々は、主を忘れ、エジプトから奇跡的に解放された恵みを忘れ、律法の精神から離れて罪を犯したとき、必ず近隣の他部族の来襲を受け、略奪と破壊が起こった。そこで主を思い出し平穏と安全を祈願するのであった。ギデオンが士師に召される前もイスラエルの人々は主から離れ、悪を行った。そのために対立するミデアン人に耕地を荒され、家畜を略奪され、恐怖におののき逃げ隠れしていた。小心のギデオンも酒樽の中に隠れて麦を打っていた。そこへ主の使いが現れ「大勇士よ。主が共におられる。お前を、イスラエルを救う者とする。」とに語られた。驚き、戸惑いの中にしるしをもって確信できるように導かれた。そこで主の命じられた通りに、先ず、町中と家の中にあるバアルとアシラの像を皆を恐れて夜中に切り倒した。ギデオンは主の言葉を行動に移した。人々は抗議したが、ギデオンの父が彼を擁護し、人々は偶像の空しさに気付いた。
ギデオンが主の霊に満たされ戦うために人々に呼び掛けると続々と集まって来た。三万人になった。主は、これを見て人々が自分の力で解決したと思わせないため、ギデオンに「恐れている者は帰れ」と言わせた。一万人が残った。そしてさらに選別するために水辺に導き、手ですくって水を飲んだ三百人を分け、後の者を帰らせた。その精兵で角笛と空の水がめに松明を入れて一人一人に持たせた。三つの分隊として夜中の闇のなかで鬨(とき)の声をあげ「主の剣、ギデオンの剣」と叫んだ。敵は、うろたえ同志討ちとなり敗散した。その後イスラエルには四十年間平穏が訪れた。やがてギデオンは召されたが、人々はこの恵の奇跡を忘れ、再び、バアルを礼拝して堕落するのであった。
この出来事は、第一に、人が真心から悔い改め、主に従う時にチャンスを与えて回復されることを教えている。「信仰を持って生きているかどうか自分を反省し、自分を吟味しなさい。…何事も真理に逆らってはできませんが、真理のためならばできます。」(コリントU13:5,8)第二に、真実に主を愛し、信頼している時にこそ道が開けることを教えている。その信頼こそ「神の力」聖霊の恵に満たされることを指している。「救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。どのような時にも、“霊”に助けられて祈り、願い求め、…絶えず目を覚まして根気よく祈り続けなさい。」(エフエソ6:17,18)第三に、ギデオンの教訓は、主の恵の業を忘れてはならない。主が共におられること、その主に「感謝する」ことこそ信頼の証であと言える。信仰のあるところに感謝があり、希望と勝利がある。「わたしの魂よ、主をたたえよ。主の御計らいを何ひとつ忘れてはならない。」(詩103:2)「驚くべき大きな御業を行う方に感謝せよ。慈しみはとこしえに。」(詩134:2)



今週のみ言葉 詩編103篇2節




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