11月21日 礼拝メッセージ

「十字架の道と祝福」マタイ福音書27章27−56節

11月のイスラエルは真夏のように暑かった。いつもは冬の訪れと共に雨が降る季節である。山上の垂訓の教会から見るガリラヤ湖はブーゲンビリアの花が咲き乱れ美しかった。就任50年を記念して教会から聖地巡礼に送り出していただいた。人生の晩年を迎え、イエス様を信じ、学び、福音を伝えてきた50年、イエス様の足跡を訪ね墳墓教会で十字架が建てられた場所の祭壇にひざまずいた時、改めてキリストの受難の痛みと贖罪の尊さを実感した。溢れる巡礼者の騒音の中で感動がこみ上げてきた。この度は、ガイドの青年がユダヤ人で単純に聖書の“あれが”“これだ”と云った通り一片の指摘でなく、時代考証を背景に考古学的な説明も加えて興味ある説明で新しい聖地の発見を知ることが出来てよかった。
特に“悲しみの道”ヴィア・ドロローサはイエス様の裁きの庭から甦りの墓まで、聖書の記録と伝承に基づいて記念の14ステーションがある。第1ステーションは今は学校になっているアントニオ要塞があった所でローマの駐屯地であった。イエス様はユダヤ人の訴状により訴えられた。ユダヤ人は、イエス様が救い主であることを信じがたく訴えていた。しかし、それを死刑には出来ない所から訴状を「ユダヤの王」(メシヤはユダヤの王)に変えて叫んだ。(ヨハネ19:12)ピラトは無罪として釈放しようとした。ユダヤ人の「あなたは皇帝の友ではない」という言葉に保身になり、イエス様を死刑にした。第2ステーションの総督の官邸に連れていく。そこで上着をはぎ赤い外套を着せて茨の冠をのせて侮辱する。つばをかけて頭を棒でたたき続けた。ピラトが“この人を見よ”と言ったことからエッケ・ホモ教会がある。第3ステーションはイエス様が十字架の重みに耐えかねて倒れられた。第4ステーションは母マリヤが群衆と共にイエス様を見られたとするところ。第5ステーション、クレネ人シモンにイエス様の代わりに無理に十字架を背負わされたところ。第6ステーション、伝承によるベロニカの家の前。イエス様の血と汗にまみれた顔を見かねてベロニカが手拭いで拭いたとされる。その手拭いにはイエス様の顔が写り、後にはローマのS.ペテロ聖堂にあるとされている。第7ステーション、裁きの門と呼ばれる場外に出る所がありその石段にイエス様は躓かれ、二度目に倒れられた所でイエス様の罪状書きが貼られたと言われている。第8ステーション、イエス様がエルサレムの娘たちに「わたしのために泣くな。むしろ自分と自分の子供たちのために泣け。」と言われたところ。(ルカ23:28)今は、ギリシャ正教会が建っている。第9ステーション、小さな商店街を登り道なりに右折後、聖墳墓コプト教会入口が三度目にイエス様が倒れられた所。その苦しみが実に浸みる。10から14ステーションは聖墳墓教会の中にあり聖墳墓教会はゴルゴダ(骸骨の丘)の後(上)にあり、ローマカトリック、ギリシャ聖公会、アルメニア教会、エジプト教会、コプト教会によって祭壇が複雑に分かれている。第10ステーションは聖墳墓教会の上層部エチピオピア教会の屋根の上から入ると右側にカトリックの小聖堂がありここでイエス様は服を脱がされ、兵士たちは籤でその衣を分け合った(ヨハネ19:23)。第11ステーションはそこから少会堂に入るとイエス様が釘づけられた祭壇に出る。全身にイエス様の御苦しみの痛みが伝わる。思わず涙が出る。第12ステーション、隣接したギリシャ正教会の小会堂の聖壇、十字架のイコン、前に二人が屈んで入れる聖壇がありその中に穴が開いていた。これこそがゴルゴダに建てられたキリストの十字架の穴という。家内と二人で跪き、暫く、主を偲んだ。雑踏の中の一瞬に思えた時、ここから自分の存在が生かされた。永遠の命への約束が与えられた。生涯、忘れることのできない感動。ハレルヤ。罪多い人生。日々赦されて生かされている恵み。このゴルゴダの出来事。その地点にいる。今、死を迎えようとしている年齢で永遠の命の感動を、跪きながらかみしめて感謝した。そして今も日々ゴルゴダのキリストを思い平安と喜びに感謝している。第13ステーション、ローマ教会とギリシャ正教会の間にイエスの死を嘆くマリヤの祭壇があり、その前に石盤が祭壇のように横たわる。アリマタヤのヨセフがイエス様の死体を受け取り最後の終油を施したと言われている。そして第14ステーション、ドロローサの最終点キリストの葬られた聖堂になってる。「彼は、ここにおられない」復活されたキリスト、永遠救い主。最後の日、ヨッパの皮なめしのシモンの家を訪ねた。ガイドが云った「ペテロが祈っていると食べてならない食べ物が見えた。天使の声があり“神の清められたものを清くないと言ってはならない。”この言葉からキリスト教は始まったのです。」と。ユダヤの律法の伝承を超えて、主の御旨に生きることを「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ13:34)。私達の旅はカイザリヤから始まった。ペテロは、その後、カイザリヤの百卒長コルネリオの家に行き、異邦人に聖霊が下り世界宣教が始まるのである。



今週のみ言葉 ヨハネ福音書13章35節


ヴィア・ドロドーサの道

イエス、死刑判決を受ける
イエス、十字架を背負わさられる。
イエス、十字架の重みに倒れる。
母マリヤがイエスに出会う。
クレネ人シモンが、イエスにかわって十字架を背負う。
ベロニカ、イエスの顔を拭う。
イエス、二度目倒れる。
イエス悲しむ女性たちを慰める。
イエスさ三度目に倒れる。
イエス、衣を脱がされる。
イエス、十字架につけられる。
イエス、十字架上で息を引き取る。
アリマタヤのヨセフ、イエスの遺体を引き取る。
イエス埋葬される。
復活




 ページのトップへ    2010年の礼拝メッセージ  他の年の礼拝メッセージへ      トップページへ