12月5日 礼拝メッセージ

「クリスマスの訪れと恵み」 ヨハネの手紙T、4章7−12節

クリスマスの祝会にはどこでも交換プレゼントをして楽しむ慣例があります。子どもはサンタクロースの贈り物に期待します。クリスマスの意味と色々な伝承が受け継がれて慣例となってきています。いつしか生活の風習となって意味がなくなってしまうことになり、様式だけが受け継がれて「祭」になります。京都には祭りが一年中あります。出来事を伝承するのですが、いつの間にか文化財となって観光化され、日常の生活には関係がなくなります。しかし、クリスマスは、人生の生き方の命と道であるのです。聖書の言葉によって一言で言えば「生きるようになるため」(:9)です。人として、人らしく「生きるようになる」ためのクリスマスであると言えます。クリスマスはイエス・キリストの御降誕を記念する日であるのです。キリストの誕生日は厳密には特定できないのですが、宣教の歴史でローマを中心に世界的に広がる経緯でローマの習慣であった闇の夜の一番長い冬至の日から太陽がだんだんと長く輝くようになることからクリスマスを希望と喜びの日として祝うようになったと言われています。希望と喜びは「神様の愛」から生まれ、愛は信頼に裏付けられる時に、力が湧き、希望が生まれます。希望は命となり、生きる力となるのです。キエルケゴールが云うように「絶望とは死に至る病」です。絶望は死を意味します。希望こそは人に生きる力を与えるのです。ですから「愛」が「信頼」に裏付けられる時に、そこから「希望」と「喜び」が生まれ「命」となるのです。「信頼」は、信仰であり、信じることが「力」となり、「命」となるのです。そこに平和が生まれることになるのです。「愛は神から出る」(:7)とあります。真実に愛し合う所に希望と喜びと平和が生まれます。「人間は神が、神に似せて造られました。」(創1:27)そして神は愛であるのです。「神は愛なり」(4:8)であり、愛こそは神の本質であり、人も、愛に生きる時に人として生きることにあるのです。 人は、人を愛さなくては夫婦も、家庭も、社会も、世界も成り立ちえないのです。神を信じなくても人を愛します。しかし、その愛、神のない愛は、自己主張、我欲のせめぎ合いになります。ギリシャ語では、愛をハッキリと分けて表現します。そのような生きる自己主張の連鎖はエロス(自己保持本能的)の愛を云うのです。このエロスの我欲から争いが起こり、罪が生まれるのです。真実な愛は「愛する者ために犠牲になる」(ヨハネ15:13“友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない”)ことを云います。キリストが表された「神の愛」を「アガペー」と言います。聖書は「神は、独り子(イエス)を世にお遣わしになりました。その方によって、わたしたちが生きるようになるためです。ここに、神の愛がわたしたちの内に示されました。」(ヨハネT、4:9)これがクリスマスの出来事なのです。愛は信頼と理解によって、和解と平和、共生の希望を生み、喜びの訪れとなるのです。キリストの愛は、十字架に示されています。愛する者のために犠牲になる愛です。まさに交換プレゼントは「愛し合う告白」と言えます。クリスマスの心で生きる時にこそ喜びと平和が約束されるのです。
マキシミリアノ・コルベ神父は1894年にポーランドで生まれました。1930年(昭和5年)4月24日にゼノ修道士らと来日すると長崎で伝道します。1936年(昭和11年)に故国ポーランドへ戻り、以後出版やラジオなどを通じての活発な布教活動を行っていましたが、1941年5月にナチスに捕らえられ、その理由は、コルベ神父が出していた新聞がナチに対して批判的なものであったからと言われています、ナチスはユダヤ人のみではなく、反ナチスの人物を逮捕の対象にしたのでした。その後、アウシュビッツの強制収容所に送られた。1941年7月末、脱走者が出たことで、無作為に選ばれる10人が餓死刑に処せられることになりました。囚人たちは番号で呼ばれていきました、フランツェク・ガイオニチェクというポーランド人軍曹が「私には妻子がいる」と叫びだしたと言うのです。この声を聞いたとき、そこにいたコルベは「私が彼の身代わりになります、私はカトリック司祭で妻も子もいませんから」と申し出たのでした。責任者は、この申し出を許可しました。コルベと9人の囚人が地下牢の餓死室に押し込められた。通常、餓死刑に処せられるとその牢内において受刑者たちは飢えと渇きによって錯乱状態で死ぬのが普通でありました。時折牢内の様子を見に来た看守は、牢内から聞こえる祈りと歌声によって餓死室は聖堂のように感じられたのです。2週間後、コルベを含む4人はまだ息があったため、フェノールを注射して殺害されました。 「人、友のために命を捨てる。これよりもおおいなる愛はない。」(口語)コルベ神父はキリストの愛を生きました。その心、クリスマスの心を生きることこそ神の国を実現することです。神様の愛、その恵みと憐れみによって生かされていることに気付き、クリスマスの恵みと愛を日々に生きる人になろうではありませんか。平和の実現のために。




今週のみ言葉 
ヨハネの手紙4章18節
「愛には恐れがない。完全な愛は恐れを締め出します」




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