2011年 3月27日 礼拝メッセージ 
メッセージタイトル 「神の国の発見と現実」
聖書箇所 ルカによる福音書17章20−21節
東北・関東大震災が起きて16日目を迎える。地震と津波の災害に続いて原発の災害が深刻な問題となり、放射能被害と電源供給停止、情報遮断が日本列島全体に大きな影響を及ぼしている。教会では義援金の第一回を送り、来週も送金できるようであるし、町内でも募金を始める事になった。教会には東日本からすでに7人の方々が避難して来られている。人が人としての心を取り戻し、痛みを分かち合う犠牲が求められている。一人も取り残される人のいないように切に祈り、一人一人が出来ることをしようではないか。
死で終わる人生は、儚く、空しい。古来、人はどんな宗教でも正しく生きることが「安心立命」を求めた道であると言われてきたし、その為に色々な修業を勧めている。しかし、確かに、善人が苦難に会わないとは言えない。災難や、病気がその人の所為(せい)で起こると言い切ることが出来るであろうか。勧善懲悪ですべてのことを図ることは難しい。イスラエルの国でもイエス様がおられる頃は律法を厳格に守ることによって神の国であり、神の国に入れられると信じられていた。そこで律法を守る前に、律法を知っている人であり、律法を正確に知ることは律法を読める人であることになります。同じ民族でも字の読めない人、十分に律法を知らない人々は律法を守れないということになり、律法を知らない人は「罪人」になることになります。そこでお互いにあの人は守っている、この人は守っていないと「さばき合う」ことになり、差別が生まれ、卑下や、劣等感が人間性を失わせ、神の律法の根本的な精神である「神様の愛」が見失われてしまっていた。律法を厳格に守るファリサイ派の人々は、イエス様が示し、教えておられる「神の国」と違うので、「神の国」はいつ来るのかと尋ねた。
「イエスは答えて言われた。『神の国は、見える形では来ない。“ここにある”“あそこにある”と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。』」(ルカ17:20)とあります。イエス様は律法を守ることは共に生きるために重要だが、「心の中で人を憎むこと」「心の中で人のものをほしがる」見えないこころの中の思いがすでに殺人や盗みの種として罪を犯している事になる。厳密には心で何を思い、見えない罪を犯していても律法を守っていればいいというのではない。言いかえればイエス様は「どのような人間でも罪ある者である」だから「悔い改めて神の国を信じなさい」と言われている。神様は、「裁きの神」でなく「愛なる神」であるのです。罪を認めて悔い改める時、神は赦して下さり、「神様の愛」を生活原理にして「赦し合い」「助け合い」「いたわり」「思いやり」、見えない神が、見えない神の愛が、見えるように生きるところに「神の国」、神様がおられるところとなるのです。「神の国はあなた方の間にある」そこに神の愛と平和が「神の国」があるのです。イエス様は、「神様の愛」「神の国」を示したために反感され、拒絶され、十字架で処刑されたのです。言換えれば、「敵を赦す」という犠牲の愛を十字架の上で証しされました。赦すだけでなく、その知らないで犯す敵の罪を赦し祈られたのです。
人は、例外なく死にます。人生には終わりがあるのです。人それぞれ死に方は違います。どのような人生の終わりであっても、神の国に生きる時、それは“終り”ではなく永遠の始まりであるのです。災害や,事故、病気など善悪に関係なく死に出会うのです。人の責任で死の終わりが決まるのではないのです。人間は、災害や不幸な時に人間性を取り戻して「愛し合う」のです。そのように人が造られている素晴らしさを思い、信じる時に神は共にいて下さる体験をするのです。愛は、理屈でなく、人を生かす「いのち」です。「神の命」は、現在にあり、「永遠に変わらない命」です。「現在」を「永遠の命」に生きる、永遠に変わらない「神の愛」を「今」に生きることが出来てこそ「神の国の平安」に生きることになります。
災害は悲しく、苦いことですが、この苦しみを分かち合える中で真実の意味の人に出会い、神に出会い、神の国を見る、発見できると言えます。イエス様は「わたしを信じる者は死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。」(ヨハネ11:26)と言われています。
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネ3:16)

 
【今週のみことば】
コリントU4章18節

 わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。


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