阪神チャペルセンター
  礼拝メッセージ
 
2014年8月31日
「人を生かす福音の訪れ」
Tペテロ1章20−25節

 現在の日本の国が成り立っている基本、主権と言いますが、それは国民にあります。国民にあると言いながらも、選出された政治家に委ねられる事になります。そして選ばれた議員による多数決で政治の行く先が決められるのです。そして政治は絶えず人々の声を気にかけます。政権が維持されるためには、政治が評価され、選挙で国民によって支持される事が必要なのです。人々の思いや、考えが世の中の多くの流れとなって方向づけられるのはニュースによります。出来事をつぶさに伝えるニュースで、多くの人は反応するものです。そして解説者が、様々な自分の思いから意見を述べます。今日のテレビの放映チャンネルは十数局に上ります。その3分の1が報道と解説のニュースと言って良いくらいです。古(いにしえ)の「狼少年」の物語は、羊飼いの少年が「狼が出た」と嘘をついて、人々が慌てふためくのを面白がるのですが、3度、4度となると人々は信じなくなり、本当に狼が出てもだれも信じてくれずに餌食になってしまうという話です。嘘をつき続けると人に相手にされず、自分自身が身を滅ぼすという教訓です。
 今日では放送倫理があり、健全で正しい放送映像をおくると、お互いの約束として決められています。然し、絶対主義で政治が独裁的な支配をする時には、政府は自分たちの決めた政策を都合よく実現するために、報道をコントロールして国民を支配する事になります。政権が様々な問題を抱えて困難な時には、国民の目を欺くために隣国とトラブルを起こして、内政から眼をそらさせる事さえもあります。えてして絶対主義の政府には報道の自由はないのです。反対はみんな削除するのが慣例なのです。
 民主主義の現在の日本では、報道の根幹である新聞が虚偽の報道をしたとしたら、国民は報道を信頼しているのですから、誤った選択をしてしまう事になります。最近の韓国朴大統領の日韓関係の言動は、歴史認識の日本との違いに対して、糾弾的に改善を厳しく求めるものです。日本は韓国が朝鮮にある唯一の合法政府であることを確認し、国交を正常化しました。また日本の援助に加えて、両国間の財産、請求権一切の完全かつ最終的な解決の確認をして、それらに基づく関係正常化などの取り決めを行ったのでした。この条約によって国交を正常化した結果、日本は韓国に対して併合時の資産を放棄し、賠償金8億ドル(無償3億、有償3億、民間融資3億ドル)の膨大な賠償をする事で、一切の補償をすませることになったのです。1965年この日韓条約の後、韓国は漢江の奇跡と世界が注目する経済発展を遂げるのです。時あたかも日本では東京オリンピックで高度経済成長の成熟期にありました。戦後の苦悩の中で、韓国ではリバイバル的にキリスト教会が成長するのでした。その原動力の一つに祈祷院運動がありました。特に、韓国の象徴的政治舞台である漢江の中洲にあるヨイド島の中央福音教会のリバイバルと、巨大な会堂は世界が目を見張り、指導者の趙牧師は世界教会成長センターを設立して、世界に影響を発信していました。義母の崔子実師は、日本を愛し、全国の諸教会に霊的な祝福を伝え、祈梼精神を諸教会に鼓舞して、素晴らしい働きをすすめられたのです。やがて趙師は日本一千万救霊のスローガンで、大阪体育館を始め、全国で大衆クルセードを展開し、福音テレビ伝道を実施されるのでした。毎月のように韓国の裡山里の祈梼院に日本のクリスチャンは断食祈祷に出かけるのでした。その後、長老派サラン教会の弟子訓練活動が、全国の諸教会に影響をもたらすようになるのです。然し、1990年が過ぎると深い交流の流れが切れたようになり、交流もなくなるのです。何かの異変が起きなのか、交流も、協力も遠のいてしまいます。そして、「従軍慰安婦」の問題が問われ始めるのです。1991年8月11日の朝日新聞で植村という記者によって戦争中に多くの韓国の若い女性が「従軍慰安婦」として軍隊に強制連行されるという悲しい、むごい出来事が報道されるのです。屈辱的な非人道的な問題として、韓国の国民に受けとられ、急激な反日感情が、様々な歴史問題と絡んで広がります。朝日新聞の記事を検証する働きも進み、問題の済州島で起こった出来事とする記事について、現地記者なども調査を進めるのですが、そのような事はなかったというのです。そもそも、朝日新聞の記事の元となったのは、吉田清治という著作家の、「わたしの戦争犯罪」という著書でした。その後、吉田は済州島での女性の強制連行の出来事を体験として講演するのでした。朝日新聞の「従軍慰安婦強制連行」は繰り返し報道され、政治問題化し、外交問題となるのです。そして、様々な民間支援と謝罪が繰り返し続けられたのですが、韓国の国民や政治の流れは納得せず、国際的にも日本によって民族的な屈辱を受けたと、アメリカの地方自治体にまで慰安婦の銅像を設置する事になるのです。
 去る、8月4日、2日に渡って「従軍慰安婦」に関する記事は誤報であったという弁明の記事が朝日新聞に発表されるのです。あの親しかった韓国の人々との交流が途絶え、一日も早く、友好と親善の日が来るのを待っていました。勿論、日本統治時代の様々な辛い悲しい事もあろうと思います。然し、平和国家となった日本は、戦争の償いとして様々な痛みを負いながら、二度と過ちを犯すことの無いように努力しているのです。
 真実のニュースこそは、報道機関の責務です。日本の知性とまで言われて、信頼され、クオリティーペーパーとさえ言われた朝日新聞です。その新聞が32年間、誤報を続け、いや、歪曲し、事実を隠蔽してきたのです。国を陥れ、隣国に与えた不誠実と混乱、辱めを払拭する責任があるという事です。報道倫理規定の根幹に触れる問題です。正しい報道こそ人々を健全に、平和に、希望と意欲を生みだす事になります。社会は変わり、世界は変動します。政治の取りくみで人の幸せは変わります。大切な事は、一人一人が、自分の変わることない人の生きる道をしっかりと持っている事にあります。「あなたの御言葉は、わたしの道の光、わたしの歩みを照らす灯。」(詩119:5)移り行くこの世の流れは、一寸先は「闇」です。「あなたの言葉」、即ち「神様の言葉」です。主イエス様は「わたしを信じる者が、だれも暗闇の中にとどまることのないように、わたしは光として世に来た」(ヨハネ12:46)闇は、見えないのです。不安と心配、戸惑いと混乱です。光は希望であり、命と力です。調和と平和の源であるのです。「『人は皆、草のようで、その華やかさはすべて、草の花のようだ。草は枯れ、花は散る。しかし、主の言葉は永遠に変わることがない。』これこそ、あなたがたに福音として告げ知らされた言葉なのです。」(ペテロT1:24、25)主の言葉こそは、神様の愛のメッセージであるのです。人が幸せに生きるには平和でなければなりません。永遠に変わらない真実、真理の道、イエス様は、「わたしは道であり、真理であり、命である。」(ヨハネ14:6)と言われている。真理、間違いのない正しい人の道です。そしてそこに人の命の目的があるのです。平和に生きる事です。聖書は言います「実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました。」(エフェソ2:14−16)
 戦争は闘争です。憎しみと圧殺です。人が獣になるのです。人間性を失う地獄です。悲しい「従軍慰安婦」問題をめぐって、その苦しみと屈辱を思い二度と起こらないように祈らねばなりせん。戦争に兵士の性問題はつきものです。勝利者が敗者を辱め、略奪する事を繰り返してきました。この度の「慰安婦問題」では、国際連合の場にまで問題提起され、創作の出来事を日本だけの問題にする結果ともなっています。確かに、慰安婦の問題はぬぐいえない悲しい問題であり、民族的な悔悟の念は禁じえないのです。
人間の歴史は強い者が弱い者を支配する悲しい歴史です。だからこそ真実の平和を求めて「和解」が必要です。和解には[赦し]がなければなりません。「敵意という隔ての中垣」を取り除く事こそ今求め

られているのです。イエス様の十字架の赦しこそ新しい平和の鍵であると言えます。平和のよりどころは、イエス様の十字架の言葉、平和の言葉、赦す言葉、和解の言葉、救いの言葉です。
 朴 槿惠(パク・クネ)韓国大統領は、「加害者と被害者という歴史的立場は、1000年の歴史が流れても変わることはない」、赦さないというメッセージを語ったと言われています。日本はどの様な国とも平和を求めています。赦し合う事こそが未来に希望をつなぐのです。「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」[原爆碑]悲しい原爆の悲劇を通して二度と「戦争の過ち」をしない決意です。これが平和を愛する日本の心情です。
「御国が来ますように。御心が行われますように、天におけるように地の上にも。」(マタイ6:10)
「赦す事は忘れる事である」(ヒルティ)



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