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阪神チャペルセンター
礼拝メッセージ |
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「救い主を尋ねて」
マタイによる福音書2章1-12節 |
クリスマスをお祝い致します。
現在、世界中で西暦を使いますが、これは、言うまでもなくキリストがお生まれになった年を初めとする暦です。
歴史は、キリスト以前（Before Christ）とキリストの年、（AD 、Anno Domino）に分けて考えられるようになりました。
今年はキリストの年２０２１年ということです。
主イエスがベツレヘムでお生まれになった時、東方から学者たちが幼子を探して旅をしてきました。
東方の国とは、バビロンがあった、メソポタミアのあたりだと考えられます。バビロンには昔、ユダヤからの捕囚の民がいたので、メシア到来の事は知られていたのでしょう。
彼らは占星術の学者であったとあります。星を見て吉兆を予言する天文学者でした。
学者たちは夜空に不思議な星を見つけました。「ユダヤ人の王が生まれた」というしるしの星だと確信しました。
「ユダヤ人の王」とは、地上を治める王ではなく、「メシア」、キリストであると確信しました。
この世の王が生まれたのであれば、遠く何千キロも旅をしてくることはありませんでした。はるか昔から預言されてきた救い主がお生まれになったと確信して旅立ったのです。
救い主が誕生されたなら、ぜひ行って礼拝をささげたいという強い気持ちが、旅の原動力でした。現在とは違い、旅に危険があり、途中で何があるか分かりません。それでもユダヤまで旅を続けました。
エルサレムにやって来て、学者たちは不思議に思ったかもしれません。
なぜなら、街中で人々が喜びあっているかと思うと、そうではありません。ヘロデ王の王宮を尋ねても、メシア誕生はだれも知りませんでした。
「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みにきたのです。」（マタイ２：２）
この問いに対して、ヘロデ王は不安を覚えました。エルサレムの人々も同じでした。
ヘロデは自分の王位が脅かされると思い、思い悩みました。宗教指導者たちを集めてメシア誕生の地を尋ねると、ミカ書の中からユダヤのベツレヘムであるということがわかりました。
ヘロデは学者たちを密かに呼んで、「その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」（マタイ２：８）と言い、ベツレヘムへ送り出しました。
メシア誕生を知り、はるばる礼拝にやって来た学者たちは、異邦人です。一方、メシアを待望していたはずのユダヤ人たちは「不安」を覚えたのです。ヘロデ王はただ自分の王位安定だけしか考えていませんでした。当時のユダヤの宗教指導者たちも、地位や名誉にしがみつき、メシア誕生に心が騒ぎました。神の救い、神の約束を待ち望むより、自分の地位、名誉、権力、生活、富に心がいっぱいだったのです。
学者たちがベツレヘムを目指すと、東方で見た星が彼らを先導しました。そして、キリストのおられる場所の上に留まりました。
学者たちは、その星を見て、「喜びにあふれた」のです。
キリスト降誕を知り、喜びに溢れた学者たち、不安に襲われたユダヤ人たち、非常に対照的です。
一方は、神に選ばれた民であり、一方は異邦人です。当時ユダヤ人は、異邦人は救いにあずかれないと考えていました。
自分たちは、神の選民であり、アブラハムを父とし、律法を持っていると誇っていたのに、メシアに対して不敬虔であり、不信仰でした。
東方の学者たちのベツレヘム来訪の目的は、メシアを礼拝することでした。幼子は母マリアと共におられました。学者たちはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげました。
この時、学者たちの目的は達成しました。
王としてお生まれになった方を拝みに、すなわち礼拝するために来たのです。ひれ伏すとは、文字通り体を地に伏せて、低い姿勢を取ることです。頭も体も手もすべてこれ以上ないほど低くすることです。
この姿勢から、私たちも学びます。
礼拝は神の前にひれ伏すこと、それは、体はひれ伏さなくとも、心は神の前にひれ伏し、神をこれ以上ない高い方として崇めることです。
であるなら、礼拝の場での心の在り方が大切です。臨在の前にそれにふさわしく整えられる必要があります。
恐れおののきつつ主の前に出ることを学ばなければなりません。
学者たちはそれぞれ黄金、乳香、没薬をささげました。高価な品々です。
黄金は王にささげる品物、この幼子が王であると示しました。乳香は、神殿で神に祈りをささげる時に用いるものです。幼子が神であることを示しています。
没薬は、死者の葬りに使う物です。埋葬の時に、死体に塗って用います。没薬はキリストの十字架の死を暗示し、「贖い主」であることを表しました。
博士たちは自分たちに出来る限りのことをしました。困難な旅をし、力を尽くして救い主にお目にかかりました。
彼らにとってメシアである幼子を探しあて、ひれ伏して礼拝することこそ、大きな何にも代えがたい喜びでした。
ヘロデ王は、残忍な王として知られています。ヘロデ王はユダヤ人ではなく、エドム人で、ローマの後ろ盾で、ユダヤの王になりました。ユダヤの家系ではないこともあったのか、人を信じることができず、反逆を怖れて、家族や息子を処刑してしまうような王でした。
いつも猜疑心や、恐れに心が支配されていた人でした。いざ約束のメシアが誕生しても、心に受け入れる余地すらありませんでした。
メシアを歓迎するどころか、ベツレヘム周辺の幼子を殺害するようなことをしたのです。
このようにキリストを抹殺しようとし、反逆する人でした。平和の道とはかけ離れていました。
持てるものすべてをささげて礼拝したのは異邦人である、学者たちでした。救い主はユダヤだけの王ではなく、異邦人の王であることを表しています。
信じる者すべてに救いをもたらされる神です。
ガラテヤの信徒への手紙３章２６節以下には、「あなたがたは皆、信仰により、キリスト・イエスに結ばれて神の子なのです。・・・・そこではもはや、ユダヤ人もギリシャ人もなく、奴隷も自由な身分の者もなく、男も女もありません。あなたがたは皆、キリスト・イエスにおいて一つだからです。」（ガラテヤ３：２６、２８，２９）。とあります。
キリストの十字架の贖いにより、救い主を信じる者はだれでも神の子とされるのです。民族も性別も身分も関係ありません。ただイエスをキリストと信じる信仰によります。
東方の学者たちは、幼子を探しあて、黄金、乳香、没薬をささげて、ひれ伏して礼拝しました。
そして、夢でヘロデのところへ帰るなとのお告げを受けたので、別の道を通って帰国していきました。
もし、ヘロデの言葉を信じてエルサレムへ帰って行ったら、命はなかったでしょう。
救い主にお会いした学者たちは、神の声を聞き分けました。
ちょうど羊が羊飼いの声を聞き分けるように、命と平和の道を通ることができました。
私たちも、ひれ伏して御子を拝むことが最も大切なことです。
世の中には、救い主を認めないにもかかわらず、クリスマスを楽しむ多くの人々がいます。残念なことです。キリストを伝えなければなりません。
華やかなイルミネーションがなくても、立派なプレゼントはなくても、御子にひれ伏して礼拝し、これ以上ない高さに掲げることこそ、クリスマスです。全世界の罪の贖いとなられた救い主をほめたたえ、礼拝し、これからも神の子とされたことを喜びながら、従う者でありましょう。
今週のみことば
「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。
ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。
権威が彼の肩にある。
その名は、「驚くべき指導者、力ある神、
永遠の父、平和の君」と唱えられる。
イザヤ書9章5節
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