阪神チャペルセンター
  礼拝メッセージ
 
2023年12月24日
クリスマス礼拝
「星に導かれて」
マタイによる福音書2章7-12節

 救い主のご降誕をお祝い致します。
主のご降誕を祝いながら、クリスマスの礼拝をおささげしましょう。
マタイによる福音書は、主のご降誕について、「イエスはヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった」(マタイ2:1)と記しています。
このヘロデ王はヘロデ大王と呼ばれる王で、ローマ帝国の支援で33年間王として君臨し、BC4年に亡くなっています。
ヘロデ王は、純粋なユダヤ人ではなく、エドム人でした。そのせいもあって、ユダヤの民衆の支持を得るために、神殿の工事や、大規模な土木工事を行いました。
疑い深く、非常に残忍な王として知られています。自分の王位を守るためには家族でさえ処刑するような人でした。
主イエスはその時代に、ベツレヘムでお生まれになりました。
マタイによる福音書2章には、大勢の人々が登場しています。
まず、ヘロデ大王、エルサレムの人々、祭司長、律法学者たち、東の国からやって来た占星術の学者たち、そして、母マリアのそばにいる幼子イエス。ヨセフは2章13節に登場しています。
主イエスがお生まれになった時、「東の方」から、占星術の学者たちがエルサレムのヘロデ王のもとにやって来ました。
東の方とは、日が出る方ということで、ペルシャの方からやってきたのでしょう。大変な距離を旅してきたのです。
彼らは東方で、不思議な星を見つけました。その星とは、ユダヤ人の王がお生まれになったことを現わす星でした。
東方の学者たちは、星に導かれてユダヤまでやってきたのですが、一時的に星を見る事が出来なかったようです。
それで、新しい王がお生まれになったのだから、宮殿に行けばよいだろうと考えて、ヘロデの宮殿に行きました。
学者たちは、「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みにきたのです。」(マタイ2:2)と告げました。
王位に固執していたヘロデは、この言葉に大きな衝撃を受けました。
一番聞きたくない言葉だったからです。
ヘロデは大きな不安を持ちました。ヘロデの心を支配するのは、不安や猜疑心という深い闇だったのです。自分だけしか信じられない孤独な人でした。
そして、エルサレムの人々もヘロデと同じように不安を覚えて心を騒がせました。
ヘロデは、祭司長や律法学者たちを集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただしました。
ヘロデは、東の学者たちが訪ね求めているのはメシアだと知っていたようです。
メシアとは、油注がれた者、すなわちキリストの事です。神が油注がれ遣わされたキリストが来られたことを知りました。しかし、メシアの事を正しく理解することができませんでした。
自分と同じようにこの世の王になるのだとしか思えません。神の救いも、旧約聖書の約束も信じてはいませんでした。
それでも、旧約聖書にメシア誕生の鍵となる預言があると思いました。
ですから、宗教指導者たちを集めたのです。
彼らには聖書の知識がありました。日々聖書を研究していたのです。
すぐに、ミカ書のみことばを探し出しました。
「ユダの地、ベツレヘムよ、お前はユダの指導者たちの中で決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、わたしの民イスラエルの牧者となるからである」(マタイ2:6)
これは、ミカ書5章1節の引用です。
宗教指導者たちは、聖書の言葉は知っていたのですが、彼らは良く知っていることに満足して、それを信仰に結び付けて、救い主を待ち望むことはありませんでした。
ヘロデ王は、東の国から来た学者たちを密かに呼んで、星のあらわれた時期を確かめました。救い主を抹殺することを計画したからです。恐ろしい心です。
救い主はベツレヘムで生まれることを教えました。
「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」(マタイ2:8)と学者たちを送り出しました。
救い主を拝むどころか見つけ出したら、抹殺してしまおうと思っているのに、嘘をついて送り出したのです・
学者たちにヘロデの心はわかりません。その言葉を信じて出かけました。
すると東方で見たあの星が先立って進み、彼らを幼子のいる所まで導き、そこでとどまりました。学者たちはその星を見て、喜びに溢れました。その喜びは身震いするほどの喜びでした。
学者たちは早速家に入り、母マリアと共にいる幼子に対面しました。
彼らはひれ伏して幼子を礼拝し、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげました。
宝の箱は、宝の袋と訳している聖書もあります。博士たちはメシアにささげようと思って、高価な贈り物を大切に運んできたのです。
学者たちは、自分たちの国では地位のある人たちだと思われるのですが、ユダヤまではるばるやって来て、宝物をささげて、幼子の前にひれ伏して礼拝しました。
学者たちは真の神に対する敬虔さと、謙遜、愛を表しました。
学者たちがささげた黄金は、王である方を表し、薫り高い乳香は、彼こそ祈りを聞いて下さる方であることを示しました。
そして、没薬は、死者の葬りに使われるものでした。
主イエスが十字架で死なれた時、アリマタヤのヨセフは、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラ持ってきたという記事がヨハネによる福音書
19章39節に記されています。アリマタヤのヨセフは、大量の香料を葬りの為にささげました。それもピラトや、ファリサイ派の目も気にしませんでした。信仰の証しです。この人は神の国を待ち望んでいたのです。
東の学者たちは主イエスに、自分たちにとって最高の贈り物をささげました。自分が持てるもの全てでした。それは学者たちの信仰でした。自分自身をささげることでした。さらに、夢で「ヘロデのところへ帰るな」と告げられたので、別の道を通って帰国していったのです。
ヘロデの所に行っていたら、無事では済まなかったでしょう。人の命などなんとも思わない王で、恐ろしい人でした。彼はその後、ベツレヘム近郊の男の子を殺すという大罪を犯しました。
マリアとヨセフは天使に教えられて、幼子イエスを連れてエジプトに逃れました。ヘロデ王が死ぬまでエジプトに留まりましたが、その子アルケラオが王となっていることを知り、ナザレへ行ってそこに住んだのです。
主イエスが、「ナザレ人」と呼ばれることが成就しました。
ヘロデ王は闇の心を持つ恐ろしい人でした。しかし、心を開き、まことの救いを求めるなら、闇の中にまことの光が照ったのです。どのように闇が深くても、小さな灯りに勝つことはできません。
人は皆、心に罪という闇を持っています。真の神を信じようとしない心、自分中心、高慢、憎しみ、不信仰、様々な罪の闇を抱えています。
心を開き、救い主をお迎えするのがクリスマスです。
主イエスは、御自分を「輝く明けの明星」と(黙示22:16)お告げになりました。ダビデの末であり、そのひこばえであるとも言われました。ひこばえとは木の根から生え出る芽の事です。
暗闇の中にひときわ輝く星こそ、救い主です。
学者たちは星に導かれてメシアを訪ね、礼拝しました。人生全てをささげて、祝福は絶えなかったでしょう。
主イエスの星は、わたしたちの人生を導いて下さいます。
それは目に見える星ではありませんが、いつも輝きに満ちて、正しい道、救いの道に導いて下さるのです。
その星に導かれて、私たちも星のように輝くのです。

今週のみことば
「わたしはダビデのひこばえ、
 その一族、輝く明けの明星である。」
 黙示録22章16節



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