三浦綾子作品簡単紹介    
 

 ●新約聖書入門(光文社)
   「心の糧を求める人へ」
 世には、聖書には全く無関心で一生を終える人も少なくない。
 だがどんな人であっても、一生に一度や二度、うめくような
 悲しみや苦しみにあうことがあるのではないか。
 もし、そうしたときに、聖書を知っていたならば、
 その苦しみや悲しみは、単なる苦しみや悲しみに終わらず、
 もっと別の意味を持つかもしれない。(「著者のことば」より)

 ◇新約聖書をはじめて読む方向きです。
   新約聖書の様々な記述を引用し、
   新約聖書をわかりやすく解説しています。

 ●泥流地帯(新潮文庫)  
 大正15年5月、十勝岳大噴火。突然の火山爆発で、
 家も学校も恋も夢も泥流が一気に押し流してゆく・・・。     
 上富良野の市街からさらに一里以上も奥に入った日進部落で、
 貧しさにも親の不在にも耐えて明るく誠実に生きている拓一、
 耕作兄弟の上にも、泥流は容赦なく襲いかかる。
 真面目に生きても無意味なのか? 
 懸命に生きる彼らの姿を通して、人生の試練の意味を問いかける
 感動の長編。

 ◇旧約聖書の「ヨブ記」をモチーフに、人生における苦難を
   どのように受け止め生きていくべきかを著した作品。

 ●母(角川文庫)
 「わだしは小説を書くことが、あんなにおっかないことだとは
 思ってもみなかった。あの多喜ニが小説書いて殺されるなんて・・・。」
 明治初頭、十七歳で結婚。
 小樽湾の岸壁に立つ小さなパン屋を営み、病弱の夫を支え、
 六人の子を育てた母セキ。
 貧しくとも明るかった小林家に暗い影がさしたのは、
 次男多喜ニが反戦小説「蟹工船」が大きな評判になってからだ。
 大らかな心で、多喜ニの「理想」を見守り、
 人を信じ、愛し、懸命に生き抜いたセキの、
 波乱に富んだ一生を描ききった、感動の長編小説。
 三浦文学の集大成!

 ◇プロレタリア小説「蟹工船」で知られた小林多喜ニは、当時軍の支配下であった警察で拷問死した。小説を書いただけで、なぜあんなにも無残な死を迎えたのか・・・。納得のいかない「母」セキの心は言いようのない悲しみと怒りに満ちていた。しかし、いつしかキリスト教に出会い、心の平安を得て天国に凱旋していった。
どん底の苦しみの中においても、神様は光をさしてくださる。
賛美歌「山路越えて」が心に響いてくる作品。

●塩狩峠(新潮文庫)
結納のために札幌に向かった鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。
声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた・・・。
明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。

*2009年は、小説「塩狩峠」のモデルとなった長野政雄氏が列車事故で殉職して100年を記念する年です。(1909年2月28日没)
●海嶺上(角川文庫)
知多半島にある小野浦から、千石船宝順丸が出航したのは天保3年(1832年)のことであった。乗組員は船頭、重右衛門、舵取岩松、そして炊の久吉、音吉ら14名である。だが彼らは江戸に向かう途中、遠州灘で激しい嵐に遭い難破してしまう。1年2カ月後、奇跡的に生き残った豪胆な岩松、明朗活発な久吉、優しい心の音吉の3人は北アメリカに漂着する。が、彼らには想像を超えた数奇な運命が待っていた。
生きていくことは何かを問う、魂を揺さぶる時代巨編。

●海嶺中(角川文庫)
遠州灘で遭難し、奇跡的に生き残った岩松ら3人は、北アメリカのフラッタリー岬にたどりつく。そしてインディアンのマカハ族に捕らえられ、奴隷にされてしまう。だが事情を知ったイギリスの商社ハドソン湾会社の援助によって、日本へ帰る途がひらかれた。だが、希望を持ってイギリス軍艦イーグル号に乗り組んだ3人の前には、まだまだ幾多の困難が横たわっていた。
故郷の土を踏みたい。家族の顔が見たいという彼らの悲痛な叫び。
魂の彷徨を描く時代巨編。

●海嶺下(角川文庫)
岩松改め岩吉、久吉、音吉の3人はイギリスの商社ハドソン湾会社の厚意によりロンドンを経て日本への帰途に着いた。が、その道は険しく幾多の困難と何年にも渡る長い時間の集積でもあった。はやる気持ちに水をかける遠回りとも思える航跡。日本で固く禁じられているキリスト教との出会い。そしてついに、5年ぶりに故国を目の前にするが、その日本の仕打ちは・・・。歴史の歯車が大きく動き始めた19世紀前半の世界を背景に、人間の真実の姿は何かを問う時代巨編。ついに完結!!

●ひつじが丘
「愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ・・・」

つらくよみがえる父母の言葉。
夫・良一への失望を胸に、奈緒実は愛することの難しさをかみしめる。

北国の春にリラ高女を巣立った娘たちの哀歓の日々に、さまざまの愛が
芽生え、破局が訪れる。
真実の生き方を真正面から見すえて感動をよぶ「愛」の物語。

●病めるときも(角川文庫)
従妹を見舞った帰途、洞爺湖温泉へ足をのばした藤村明子は、清らかなまなざしを持つ青年久我克彦と出逢った。
放線菌の研究に命を捧げる克彦の純な魂に、キリスト者の家に育った明子はひかれ、翌年には婚約をかわした。
だが、幸せそうにみえる二人の行手には、幾つかの厳しい試練の道があった・・・。
「健やかなる時も、病める時も、汝夫を愛するか」という神の言葉に「はい」と誓った愛の重さと厳しさ。愛を信じ、ひたむきに生きる明子を描く表題作「病めるときも」他、愛に飢え、傷ついた人物を通して、愛と自由の問題を描く傑作短編集。(角川文庫より)



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