2011年 4月17日 礼拝メッセージ 
メッセージタイトル 「人を生かす神の苦悩」
聖書箇所 ルカによる福音書23章13−25節
捕鯨の国際的禁止が国際会議で多数を占めるようになり、国際的に過激な反対運動もある。クジラを食べる食文化は古来、海洋民族には見られる。捕鯨禁止にも、賛成にも理由がある。そこで考えさせられるのは「いのち」の尊さである。韓国や中国では「犬」を食べる文化がある。犬は人間に最も近く共生するペットであり、家族でもあると考えられている。日本では一般に鳥類は食べていたけれども動物は食べない食文化であって、牛肉を食べるのは西洋文化が入ってからである。様々な風土の中で色々な食文化の風習が出来ている。共通しているのは「いのち」は「いのち」に支えられている。種族保護のための禁止は解るが、偏狭な価値観では反対の説明は難しい。人は、毎日、肉類が栄養のバランスでは欠かせない。自然の生き物に支えられて生きている。
植物にも「いのち」がある。美しい花を見て心がなごみ、休まる。美しい自然の緑の景色に人は安らぎを得る。緑や花がない生活は考えられない。ここには「心の命」がる。どのような動物も植物の命に支えられる。食肉動物でさえ、菜食動物に支えられている。愛犬や愛猫は心を和ませ癒してくれる。犬や猫は、愛に答えて、裏切ることを知らない。牛も羊も飼えば愛しいと言う。しかし、その動物によって家族の生活は支えられ、人はその命の肉に支えられることになる。「いのち」は繋がっている。
この自然の中で人は、神が与えられた「いのち」に生かされている。聖書は全てを創造されて最後に「人を神にかたどって創造し、…全ての自然を与える。それを支配せよ。」(創1:27―30)と言われた。ここには2つの意味がある。その一つは、すべての自然は人が生きるためにあるということと、二つ目は、人は、自然を生きるために支配する。神にかたどられた人間は、神の御心で自然を生かすことを言っている。自然は「いのち」が「いのち」を支えて生きる。そのように人の「いのち」も、また、新しい命を次世代に残して消える。「命」の犠牲に「命」が生かされている。それでは人は儚いものである。しかし、人は神に似せてと言うのは、神の性格を持っている。霊的存在である。人の生活には善悪があり、正邪がある。人の生きる道がある。その根本的善悪の根源は、神を信じないところに空しさと儚さがつきまとう。神を否定し、神を拒み、神に反抗する、そこに根源的な罪がある。神との関係、即ち、交わりによって霊的存在、「霊的いのち」を生きることになる。
人が、生きるにはい「いのち」の犠牲の支えが不可欠である。犠牲の苦しみがあって人を生かすことが出来る。神は愛である。真実の愛とは「愛する者のために自己を犠牲にする」ことにほかならない。神は、御子イエス・キリストを「神の愛」が何であるかを示すために送られた。神の国と神の愛を語り、どのような人も、自分の罪深さに気づき、神の前に悔い改める者は神は赦し、受け入れられる。「神の愛」に生きることこそ神と共に生きるのであり、人と共に真実に人を生きるのであると教えられた。
イスラエルの人々は、理解できず、群衆のイエス様への支持を妬み、伝統と因習にこだわって政争に巻き込み、大衆を扇動して処刑することになった。十字架にかけられながらイエス様は、「父よ、彼らをお赦し下さい。自分が何をしているのか知らないのです」(ルカ23:34)と祈られた。憎む者、殺そうとする者を最後まで“ゆるし”愛された。「敵をも愛せよ」と言うイエスの言葉は事実として語られる。
三回にわたって裁判が開かれ、幾度となく「罪は認められない」「罪はない」と言う裁きの声も扇動された群衆の「十字架につけよ」と言う声に消されて治安方策のためにイエス様は十字架で処刑されることになる。イザヤは「彼が刺し貫かれたのは、わたしたちの背きのためであり、彼が打ち砕かれたのは、わたしたちの咎のためであった。彼の受けた懲らしめによってわたしたちに平和が与えられ、彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた…そのわたしたちの罪をすべて主は彼に負わせられた。…彼は自らの苦しみの実りを見、それを知って満足する。わたしの僕は、多くの人が正しい者とされるために彼らの罪を自ら負った。」‘イザヤ53:5、11)今週は、受難週である。イエス様を通して神の苦しみによって人が生かされ、愛されている自分を知るのである。愛に生きる時のこそ、心は目覚め霊的いのちに目覚めて人として生きる喜びを知ることになる。キリストの御苦しみを偲び、“復活の明日”を待ち望もうではないか。

 
【今週のみことば】
ロマ書5章6節
実にキリストは、わたしたちがまだ弱かったころ、定められた時に、不信心な者のために死んでくださった。
 


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